違反すれば強制退去もありうる? 外国人の在留資格(4タイプ)のまとめ
初めまして。ALOTE事業責任者の小澤春奈と申します。<外国人と働く>をテーマに執筆しています。
外国人雇用の基礎知識から外国人の生活まで、様々な視点からお話ししていきます。
今回は「在留資格」についてお話しします。この記事を読めば、在留資格の基本知識を採用活動の際に活用することができるようになります。是非最後までお読みくださいね。
ビザと在留資格の違い
私もよく留学生とするのがこの「ビザ」についての話です。「ビザ更新した?」「ビザ更新いつ?」・・・。
実はこれはわかりやすくビザと言っているだけで、正しくは「在留資格/在留期限」のことです。
わかりやすく表現すると、
ビザというのは査証と呼ばれる入国のために必要なるもので外務省管轄の在外日本公館で発行されるもの。
在留資格は、日本滞在のために法務省管轄の入国審査官が与える資格です。つまり、日本にいるための資格。
そして、外国人が日本にいるためには、在留資格の範囲内で活動(生活)し、在留期限を守ることが義務付けられているのです。
在留資格は、出入国管理及び難民認定法(入管法)などで、29種類あり、4つのタイプに分けられます。
外国人が保有する在留資格の種類は、「在留カード」で確認することができます。以下のリンクより詳細の記事をお読みいただけます。
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1.就労が認められる在留資格
以下の19種の在留資格は、就労を目的としている外国人のための資格です。
それぞれの在留資格は、外国人の就職先とひもづけられ、管理されています。
(出入国在留管理庁「新たな外国人材の受け入れ及び共生社会実現に向けた取組」を参考に著者が作成)
赤字の項目について詳しく・・・
①高度専門職:
2012年(平成24年)より導入されました。高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国在留管理上の優遇措置を講じるものです。
この優遇措置というのは、様々な特典が用意されています。在留資格の更新が不要になったり、配偶者を就労させることができるといった内容です。
では、高度人材とは具体的にどのような外国人を指すのでしょうか?
「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」とあります。
これは、日本に不足している能力を持った他にはいないようなレアな人材。
「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」とあります。
これは、産業にイノベーションを起こしてくれる、専門的技術のあるスゴイ人材。
(出典:平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書)。
上記のような優秀な人材に、たくさん日本に来てもらおうという施策の一環です。
②技術・人文知識・国際業務:技人国/ぎじんこく
通称「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれる、代表的な就労が認められた在留資格です。
就労が認められる在留資格の中(技能実習以外)で6割以上を占めます。
語学力を生かし、外国人だからこその能力を生かす仕事に従事することが条件です。つまり、日本語のコミュニケーションを伴わない単純労働は不可ということです。
③特定技能:
2019年(平成31年 ※1)から設置された在留資格です。特に人手不足が深刻な14業種(※2)が対象です。
現在日本国内で唯一認められた「労働力確保」のための資格です。
④技能実習:
技能実習制度は、日本の技術を途上国に移転することを目的としたもので1号、2号、3号に大別されます。
在留期間の更新を行うことで、最長5年間在留することができます。
1号:入国後1年目、技術水準は初級にあたります。
2号:2年目~3年目、技術水準は3級(専門級)にあたります。2号を修了した外国人は、③特定技能2号への試験(技術、日本語)は免除されます。
3号:4年目~5年目、2級(上級)受験を目指します。
国際貢献のための制度であるため、彼らの労働力で人手不足の調整をしてはならない取り決めがされています。
しかし、企業の中には、人手不足を補うための安価な労働力として技能実習生を従事させる事例が多く、問題となっています。
このため政府は、③特定技能を設置し、人手不足業種の外国人就労を限定的に許可する改正を行いました。
2.身分・地位に基づく在留資格
4種あるこの在留資格の特徴は、活動(就労)に制限がないこと、です。
「身分・地位に基づく在留資格」であるため、それを裏付ける事実を示す必要があります。その身分・地位の実態がなかったり、その身分・地位を失った場合は、在留資格も取り消されます。例えば、日本人の配偶者としての結婚生活が虚偽のものであったり、離婚した場合がそれです。
(出入国在留管理庁「新たな外国人材の受け入れ及び共生社会実現に向けた取組」を参考に著者が作成)
「永住者」と「定住者」の違いは以下の通りです。
永住者:在留外国人の在留資格の中で最も多く、実に29%(81.7万人)を占めます。政府から永住許可を受けた者であり、無期限の在留期間が認められています。
定住者:7.1%(19.9万人)が在留しています。主に日系三世、外国人配偶者の連れ子、中国残留邦人、第三国定住難民等、です。
3.就労が認められない在留資格
意外かもしれませんが、以下の在留資格に該当する外国人は原則として就労ができません。
仕事で報酬を得る以外の活動を目的としての在留であることがその理由ですが、手続きを行えば就労は可能です。
例えば、留学の場合、「資格外活動許可」を申請・取得することで週28時間以内の就労が可能になります。
よく街中で見かける、コンビニなどでアルバイトしている外国人はこういった留学生が多いようです。
(出入国在留管理庁「新たな外国人材の受け入れ及び共生社会実現に向けた取組」を参考に著者が作成)
4.就労の可否は指定される活動によるもの
今までお話しした1~3にあてはまらないのが、この「4.就労の可否は指定される活動によるもの」です。
特定活動はこれに該当します。
EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、ワーキングホリデー、特定活動46号などがこれに該当します。
(出入国在留管理庁「新たな外国人材の受け入れ及び共生社会実現に向けた取組」を参考に著者が作成)
学術性・専門性・技術性でわかる在留資格
4タイプある在留資格を一通りご説明してきました。
以下の図は、学術性・専門性・技術性に注目して作成したものです。
具体的にどのような業種があるのか、学歴はどうか、なども併記しています。ぜひ参考にしてみてください。
技術・人文知識・国際業務(通称:技人国/ぎじんこく)は専門性が高い
学歴の条件が厳密に定められている在留資格です。外国人労働者としての在留資格で最も多いので、ご存じの方も多いと思います。通称、技人国(ぎじんこく)と呼ばれています。
大学・短大(国内外問わず)の卒業、または日本の専門学校を卒業した専門性の高い人材の在留資格です。よって、現場労働などの技術を要しない単純労働は認められていません。職種の例としては、通訳翻訳、海外営業、企業内の語学教師、IT技術者、などが該当します。
学歴や職業経験に基づいた専門性の高い職業であるかどうかの厳しい在留審査があります。技人国の在留審査については、別の記事で詳しくご説明しています。こちらも是非ご覧ください。<技人国の審査のポイント!申請を却下されないために>
特定活動46号で新卒者と同じキャリアプランで働ける
「特定活動」というのは独立した在留資格ではありません。一口に特定活動と言っても様々な種類があります。法務省の告示で指定され、「特定活動」の名称で認可されています。今後の日本経済の状況次第では、新たにひとつの資格として独立する可能性もあります。
ここでお話しする特定活動46号は、2019年5月にスタートした新しい在留資格です。学校を卒業した留学生を労働者として日本国内に留めるのが目的で成立したものです。対象者は日本の4年生の大学卒業以上の外国人です。
これまで外国人留学生は、日本の大学を卒業できても約7割が就職せずに帰国してしまっていました。原因は就労できる在留資格の活動範囲が狭いためです。専門性・学術性の高い職種に限られてしまい、就職できたとしても在留資格が得られないこともありました。
日本語を用いた円滑なコミュニケーションを要する業務であれば、業種の指定はありません。フルタイム(正社員や派遣社員)雇用である必要はありますが、大学などでの専攻と関連している必要はありません。
単純労働以外であれば技人国よりも在留資格が得やすいため、今後は認可が増える可能性があります。日本でのキャリアアップを図ることを目的にしている外国人にはうってつけの在留資格でしょう。
特定技能1号・2号は人手不足解消が目的
特定技能は今後人手が集まりにくい14業種に限定して認められた労働資源としての在留資格です。慢性的な人手不足の業種での労働者確保は、既存の在留資格では理論上不可能だったからです。
しかし、2023年度までに見込まれる約34万5000人の受け入れが可能であれば光明が見出せそうです。対象は以下の14業種です。
【 特定技能 14業種と所管行政機関 】
厚労省: 介護、ビルクリーニング
経産省: 素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業
国交省: 建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊
農水省: 農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
建設業と造船・舶用工業のみ特定技能1号から2号への昇格が可能です。在留期限が通算5年だったのが無期限(更新可能)になったり、家族帯同が可能になるメリットがあります。もちろん試験によって専門性、技術性の高さが認められる必要があります。
技能実習から特定技能への昇格が可能
今まで、劣悪で違法な技能実習生の労働状況が問題とされてきました。しかし、そもそもの目的は、日本の技術を開発途上国に移転することでした。労働力の調整弁としてはならないというのが基本理念だったのです。
特定技能の1号・2号が在留資格に加えられ、特定業種での外国人労働が限定的に許可されました。それによって技能実習も本来の役割に戻ることが期待されます。
技能実習生として在留していた外国人の中には技能実習2号を修了している労働者も多くいます。その場合、技能試験と日本語試験が免除されます。技能実習終了後に継続して在留を希望する外国人を特定技能として雇用することも可能です。
初めて雇用する際は、人材紹介会社等を活用するほうが安心でしょう。
留学生、家族滞在の大半はアルバイト
上記の図の中で、留学生や家族滞在者は就労のための在留資格ではありません。ほとんどがアルバイトとして従事しており、学術性は高くない職種であることが多いです。
具体的には、コンビニやファミリーレストランやファーストフードなどの飲食店。宅配便、工場勤務やビル清掃等の現場労働が多くみられます。新聞配達は奨学金のアルバイトとして安定しているため、住み込みでアルバイトをしている学生もいます。
まとめ
在留資格についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
みなさんの会社で採用する外国人の在留資格のイメージはできましたでしょうか。外国人雇用のための基本知識を、採用活動にお役立ていただければと思います。
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