外国人が働いてもまだ足りない!2030年、日本は深刻な労働力不足に
ALOTE事業責任者の小澤春奈です。こちらでは<外国人と働く>をテーマに執筆しています。
外国人雇用の基礎知識から外国人の生活まで、様々な話題を扱っていきます。
今回は「近い将来の具体的な労働力不足」についてです.この記事では、日本の労働力不足についてご説明しています。具体的に不足している産業についても解説いたします。
日本が直面する「外国人との共生社会」についての調査研究について
2022年2月3日にJICA(国際協力機構)緒方研究所主催のシンポジウムが開催されました。シンポジウムで報告されたある調査に注目が集まっています。その調査というのが「2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた調査研究 ー暫定報告ー」というものです。
その中で、日本が将来直面する労働力不足の具体的な予想数値が出ています。どういった調査報告か、具体的に見ていきたいと思います。
8年後、外国人労働者が国内で63万人不足する!?
これは、2030年、つまり8年後、現行シナリオのままでは外国人労働者を受け入れたとしても、それでも63万人の労働供給不足になるということです。ご存じの通り、国内の人手不足は深刻化し、外国人に頼っている業界も多くあります。
ではどれくらい人手不足が深刻なのでしょうか。目標GDPの年平均成長率を1.24%(厚労省)と試算した場合の「外国人労働需要量」についてご説明しましょう。外国人労働需要量、つまり「外国人労働者に働いてほしい」人数を示します。2030年労働需要量として419万人と推計されています。これは2020年比で143%増の数値になります。
それに対し、外国人労働供給ポテンシャルは356万人。つまり「外国人労働者が働いてくれそう」な人数が356万人。差し引き63万人足りないのです!
なお、これは中国などの諸外国が政策的に移民獲得政策を強化しなかった場合の数値。もし、移民争奪戦が国際的に激化した場合は、さらに深刻な労働力不足に陥ることも懸念されます。
2040年には、外国人労働者が10%に?
(引用:「2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた調査研究 ー暫定報告ー」日本政策投資銀行グループ、株式会社価値総合研究所より一部抜粋)
前の章では、8年後の2030年時点の推計データをご紹介しました。さらに18年後の2040年推計では事態は深刻化しています。外国人労働需要量は、2020年比291%増の674万人との試算が出ています。
2040年の産業別の外国人労働者数
さらに、産業別の外国人労働者数で需要が高い分野の推計も見て見ましょう。みなさんもお気付きの通り、外国人労働者の需要が特定の分野に偏っています。特に多い分野トップ3はこちら。製造業全体で155.3万人。卸売業・小売業で104.3万人。建設業で49.8万人。
在留資格「特定技能」の対象業種と重複する分野になっていますね。2019年の法改正で人手不足解消の一手として導入された特定技能。しかし、この推計データによると労働需要量に対して十分ではないという内容です。
2040年の外国人労働者数(対生産年齢人口比率)
地域別に見て見ましょう。上記の地図の赤で表示されている部分が、外国人労働者の割合が急増すると予測された地域です。生産年齢人口との割合でみると、外国人労働者が10%以上になる地域です。この地域には対生産年齢人口比が10%を超える都県が9に上るとの試算も出ています。
東京都、群馬県、栃木県、茨城県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、福井県・・・大都市圏に限らず、外国人労働者の増加が予想されていることが示されています。あなたのお住まいの地域で働く人の10人に1人が外国人、という未来がすぐそこまで来ているのです!
日本は移民する国として好まれていない
(引用:「Migration Integration Policy Index2020」)
MIPEXという指標をご存じでしょうか。
Migration Integration Policy Index(移民統合政策指標)と呼ばれるもので、EUをはじめとする52の国が参加しているプロジェクトです。移民統合を促進するための各国の施策を評価比較する独自の指標とされています。
MIPEXで日本が低評価な分野は?
このMIPEX2020によると、日本のスコアは47。52か国中34位です。ちなみに1位はスウェーデンの86。
細かく分野別でスコアを見ていくと、特に低いのが、Anti-Discrimination(差別禁止)。Political Participation(政治参加)。そしてEducation(教育)。Slightly unfavourable(やや好ましくない)かUnfavourable(好ましくない)の評価になっています。
特に、教育が「やや好ましくない」という評価であることは非常に残念ですね。外国人労働者に対してはもちろん、日本人に対しても継続的な実施が望まれています。教育が行き届けば、差別禁止の観点からも改善が期待できます。外国人との共生の実現には、外国人・日本人両面の教育は欠かせない要素になります。
国・行政だけではなく、企業内でも、外国人との共生に向けて長期的に取り組むべき時期に来ているのです。外国人にとって「働きに行きたい国」として世界から選ばれたいもの。
あなたの会社はどうでしょうか?「働きに行きたい会社」として評価されているでしょうか?
・ MIPEX2020スコアで日本は47、52か国中34位。
・ 「差別禁止」「政治参加」、そして「教育」の項目で低評価。
まとめ
近い将来、日本は未曽有の労働力不足に陥ることが予想されます。それを解消するための救世主になりうるのが、外国人労働者です。
そのためには、外国人との共生、外国人労働者との協働、これらが不可欠になるでしょう。
日本経済と言うマクロ視点だけではなく、企業単位の取り組みが今すぐにでも必要になります。
研修サービス「ALOTE(アロット)」でダイバーシティ企業様向け研修
弊社の多国籍キャリアアップ研修「ALOTE」では、「外国人労働者指導」を含めた多国籍キャリアアップ研修を行っております。
外国人採用を積極的に行っている企業様、外国人の部下をお持ちの社員様、外国人社員様、にぴったりの研修をご準備しております。
- 外国人を部下に持った指導役の社員様向けのメンター研修。
- 指導される側の外国人社員様向けのメンティー研修。
- メンターとメンティーをペアにして実践トレーニングをするペア研修。
- 日本人と外国人の合同新入社員研修。
- 外国人に特化した新入社員研修。
上記の研修を、貴社向けの個別カスタマイズをしてご提供いたします。
以下のリンクから、50ページ以上に及ぶサービス詳細&講義資料の一部を全部まとめて無料でダウンロードいただけます。
外国人雇用のためのご相談/コンサルティング
インマイブック株式会社では、外国人雇用/外国人教育に関わるご相談を承っております。
下記のお問い合わせボタンよりご連絡ください。
ピンバック: ダイバーシティ経営の定義とメリットとは?「新・ダイバーシティ経営企業100選」から外国人活用事例を紹介 |