3分でわかる!不法就労を防ぐための在留カードの見方
ALOTE事業責任者の小澤春奈です。こちらでは<外国人と働く>をテーマに執筆しています。外国人雇用の基礎知識から外国人の生活まで、外国人雇用についてお話ししていきます。
今回は「在留カードの見方」についてです。この記事を読めば、在留カードの基礎知識と関連の手続きの概要が理解できるようになります。また、在留カードに関わる外国人労働者の在留管理が容易になるポイントをご説明していきます。
在留カードって何?
外国人のうち、在留カードが交付される対象者は?
在留カードは在留資格を持って3か月以上の中長期滞在をする外国人に交付される身分証です。大きさは免許証と同じくらいのカードサイズです。外国人は常に携帯する義務があります。平成24年(2012年)に改正入国管理法及び改正住民基本台帳法が施行されました。名称も外国人登録証明書から在留カードに変更になりました。
記載項目は、外国人の氏名、生年月日、性別、国籍、日本国内の住所、在留資格、在留期間、就労制限の有無、等。在留カードを確認することで、外国人の基本的な情報や就労が認められているのかどうかを、ひと目で判断することができます。
在留カード交付対象者は、在留資格でいうと日本人の配偶者等や留学や特定技能などです。3か月以上日本に滞在する外国人が持つものですので、短期滞在者は対象になりません。
また、特別永住者は在留カードではなく、特別永住者証明書が発行されます。発行場所は市区町村役場で、在留カードとは異なります。在留カードは出入国在留管理庁(通称:入管)が発行します。
在留資格の種類に関してはこちらの記事をご覧ください。<違反すれば強制退去もありうる? 外国人の在留資格(4タイプ)のまとめ>
中長期在留者の外国人:「在留カード」(発行場所:地方入国管理局)
特別永住者の外国人:「特別永住者証明書」(発行場所:市区町村役場)
在留カードの役割は?
ひとつめは、「証明書」としての役割です。その外国人について、出入国在留管理庁長官が我が国に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する「証明書」としての性格を有しています。
在留カードには出入国在留管理庁長官が把握している情報の重要部分が記載されています。もし記載事項に変更が生じた場合には、変更届出がなされることにより常に最新の情報が反映されます。
そのため、外国人は各種行政サービスを受ける際などに在留カードを提示することで簡単に証明できるのです。私たち日本人が身分証明書として運転免許証を提示するような感覚でしょうか。
ふたつめは、「許可証」としての役割です。本来はパスポートにされていた各種許可の印証の代わりとなる「許可証」にもなっています。
また、在留カードの携帯は日本に中長期滞在する外国人の義務です。携帯しなかった場合、その外国人が1年以下の懲役、もしくは20万円以下の罰金に処せられることがあります。街中を歩いていて警察官に職務質問をされる際に在留カード携帯を確認されますので、ご注意ください。
原本確認必須!コピー保持者は在留期間更新や紛失、汚損の可能性も
在留カード携帯は外国人に義務付けられています。特別な理由がない場合は、コピーではなく原本をご確認ください。コピーの場合は、内容を偽造していても判別しにくいためです。
在留カードの偽造を判別する方法はいくつかあります。詳細は「在留カードの有効性を確認する方法」をご覧ください。
在留カードを交付された外国人がコピーしか持っていない場合も、数例ですが存在します。コピーを持っているからと言って、すぐに偽造を疑わないようにしてくださいね。
ひとつめは、所属学校の手続等で原本を預けている場合。在留期間更新手続きの場合、所属機関で原本を預かって入管に提出します。その期間は原本は本人の手元にありませんので、コピーなどを渡されているはずです。
ふたつめは、紛失や盗難、汚損等で手元に原本がない場合。再交付申請は地方出入国在留管理官署で原則即日交付が可能です。コピーしか持っていない外国人を見かけましたら、再交付するように促してください。紛失や盗難、汚損等から14日以内に再交付申請することが原則です。
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在留カードの記載内容
在留カードには、外国人の情報がぎゅぎゅっと凝縮されています。どの欄にどんな情報が記載されているか、ひとつひとつご説明していきます。
なお、雇用主がハローワークに届け出る項目のうち、在留カード記載事項は以下の通りです。「外国人雇用状況届け出書」という名称の様式です。ご確認ください。
雇用主がハローワークに届け出る内容
①氏名
②生年月日
③性別
④国籍・地域
⑥在留資格
⑩資格外活動許可
①氏名/アルファベット読み
漢字表記の場合は、漢字氏名(例:張 玉美)と読み(例:ZHANG YUIMEI)が記載されます。
②生年月日
正確な年齢はこの欄を見てチェックしてください。中国人や韓国人など、数え年を自己申告する場合もあります。
③性別
男M、女F、と記載されます。
④国籍・地域
例えば、中華人民共和国などと記載されます。
⑤住所
この在留カードが発行された時点の届出住所です。在留期間更新前に住所変更をした場合、裏面に記載することになっています。
新住居への移転から14日以内に手続きをする必要があります。新住所地への転入手続きと同時に行いますので、市区町村の窓口へ届出をしましょう。
変更後の住所記載欄の詳細は裏面⑨をご確認ください。
⑥在留資格
日本に3か月以上在留する外国人は、原則として在留資格を持っています。観光や短期商用などの3か月以内の滞在者は在留カードは交付されません。
外国人が日本に滞在するための資格で、活動内容や身分によって内容は異なります。就労が認められている在留資格は全部で19種類。その中でも就労が許されているのは、各在留資格の活動範囲内のみです。
例えば、「介護」の在留資格で就労できるのは「介護福祉士」。「教育」であれば、高校・中学校などの「語学教師」等と定められています。
技人国(技術・人文知識・国際業務)は日本で就労している外国人で最も多い在留資格です。業務内容は、通訳・翻訳や海外営業、IT技術者など。単純労働は不可で、その人物の学歴や職歴に密接な関係があるものに限定されています。在留資格審査では、その点も厳しく判断されます。
在留資格の詳細は、別の記事でご説明しております。<違反すれば強制退去もありうる?外国人の在留資格(4タイプ)のまとめ>をご覧ください。
また、就労制限のない在留資格もあります。「身分・地位に基づく在留資格」に該当する4種の在留資格です。就労活動による在留資格ではない為、制限はないのです。
例えば、「日本人の配偶者等」の在留資格。日本人と婚姻関係があることが在留資格であるため、就労制限はありません。その関係を解消、つまり離婚しない限りは就労時間も業務内容も制限はつきません。
⑦就労制限の有無
上記⑥の在留資格が「留学」だった場合、この就労制限は⑦は「就労不可」となります。しかし、それはあくまでも「留学」の在留資格が就労を認めていないからです。
「就労不可」であっても、裏面⑩の欄に「資格外活動許可」の記載があれば就労できます。アルバイトなどで28時間/週が就労可能です。所属学校の長期休暇中であれば、40時間/週です。
「就労が認められない在留資格」についての詳細は別の記事でもご説明しています。<違反すれば強制退去もありうる?外国人の在留資格(4タイプ)のまとめ>をご参照ください。
なお、「日本人の配偶者等」や「永住者」等の場合、この欄には「就労制限なし」となります。つまり「就労制限なし」であれば勤務時間や業種などについては制限はありません。
在留資格「特定活動」で「指定書」と記載されている場合もあります。その場合はパスポートに貼付された指定書での確認が必須となります。
⑧在留期間満了日
現時点の在留カードで認められている在留期限です。つまり、日本に滞在できる期間が記されています。ここに記載された期限を1日でも超えて日本に在留することはできません。不法滞在となります。
不法滞在/不法残留は通称オーバーステイと呼ばれています。オーバーステイ外国人本人は原則入管に収容され、強制送還となります。その場合、以降5年間日本に入国できなくなるペナルティがあります。
※不法就労助長罪とは
不法就労の外国人を雇用すると不法就労助長罪で処罰対象となります。
働くことが認められていない外国人を雇用した事業主や、不法就労をあっせんした者への罰則です。
【 不法就労にあたる3つのケース 】
①不法滞在者や被退去強制者が働く場合
・オーバーステイや、密入国したものが働くこと
・退去強制されることが決まっている人が働くこと
②出入国在留管理庁から働く許可を受けずに働く場合
・留学生、難民認定申請中のものが許可を得ないで働くこと
・観光等の短期滞在目的で入国した者が働くこと
③働くことが認められている外国人がその在留資格で認められた範囲を超えて働く場合
・調理人や語学学校教師として認められた人が向上で単純労働すること
・留学生が許可された労働時間を超えて働くこと
具体的な処罰は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその両方が科せられます。外国人の雇用時に、当該外国人が不法就労者であることを知らなくても、在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は処罰の対象となります。又、その行為者を罰するだけではなく、その法人、雇用主等に対しても罰金刑が科せられます。
知らなかった、確認していなかった、ではすまされません。必ず在留カードでご確認ください。
⑨住所変更後の新住所
外国人が住所変更した場合の変更後住所は裏面に記載されます。住所変更ごとにこの⑨の欄に追記されていきます。引っ越しをした外国人は14日以内に転出届と共に市区町村の窓口への届け出が必要になります。
⑩資格外活動許可
「留学」などの在留資格で、資格外活動許可がおりた場合はこの欄に記載されます。その際は以下の通りに記載されます。
「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」
アルバイトの業種は制限があります。風俗営業はもちろん不可です。ただの清掃であってもラブホテルなどの清掃はできないので、注意が必要です。
就労制限の確認方法
外国人の就労に関しては、在留カードの表面⑦「就労制限の有無」の欄をご確認ください。就労制限の有無は大まかに4つのタイプに分けることができます。下記の表をご覧ください。
※就労が認められている在留資格は19種あります。各在留資格で許可されている活動のみ就労可能です。
「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「高度専門職1号・2号」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能1号・2号」「技能実習1号・2号・3号」
「就労不可」であれば「資格外活動許可」があれば就労可
アルバイトとして就労している留学生は、本来は就労不可の在留資格です。在留資格は「留学」であるため、就労のための資格ではないというのがその理由です。しかし、「資格外活動許可」を取得することで就労可能になります。
「在留資格に基づく就労活動のみ可」は業務内容に制限がある
「就労が認められている在留資格」の19種は就労が可能です。就労のための在留資格ですので、各在留資格に対応した職種が定められています。
あなたの会社で外国人を雇用する場合、どんな業務に従事させる想定ですか?その業務内容が、外国人の在留資格で認められている範囲内であれば雇用可能です。
ですので、「介護」の在留資格であれば介護福祉士としての就労が可能となります。「介護」なのに外国料理の調理師として就労はできないわけです。外国料理の調理師は「技能」の在留資格に対応した職種になります。
「指定書により指定された就労活動のみ可」は主にワーキングホリデー
在留資格が「特定活動」の場合、このような記載がされます。どのような業務に従事できるかは、パスポート貼付の指定書でご確認ください。指定書には法務大臣が指定した活動が記載されています。
「就労制限なし」は一切の制限なし
この記載があれば、適法な業務内容の仕事なら雇用可能です。永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者。この4つの在留資格であれば、就労制限はありません。
在留カードの有効性を確認する方法
在留カードは身分証明書として利用できるという有用性があります。しかし、一部の悪質な外国人によって偽造などがされていることもあるので、注意が必要です。
在留カードが有効かものかどうか、確認する方法は主に3つです。可能であれば複数の確認方法でチェックすることをお勧めします。
①「偽変造防止対策」の内容で判別する
在留カードには「偽変造防止対策」がされています。見分け方の詳細は出入国在留管理庁のサイトでもご確認いただけます。
【 偽変造防止対策 による在留カードの真偽の判別方法 】
- MOJの文字がグリーン/ピンクに変化する。
- 左右に傾けることで顔写真下のホログラムが白黒に反転するく。
- カード左端の模様がグリーン/ピンクに変化する。
- 暗所で見ると、透かし文字が入っている。
(出典:出入国在留管理庁「「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方」)
②「在留カード等番号失効情報照会ページ」で確認する
出入国在留管理庁ホームページでは、カード情報を照会するページを設置しています。在留カードや特別永住者証明書の番号の失効情報を確認することができます。
この画面上で在留カードの番号と有効期間を入力することで確認できます。しかし、この確認結果は、在留カード等の有効性を100%証明するものではありません。
近年、実在する在留カードの番号を悪用した偽変造カードも存在するので注意してください。①の方法で印面のホログラムを確認したり、③でICチップでの確認も併用してください。
③「在留カード等読み取りアプリケーション」でICチップ読み取り
リンク:「在留カード等読取アプリケーション サポートページ」
スマートフォン向けアプリを使って真偽の判定が簡単にできるようになりました。出入国在留管理庁の提供するアプリで、在留カードに埋め込まれているICチップを読み取ります。
使い方は、在留カード番号を入力し、手元にある在留カードの原本をiPhoneやスマートフォンにかざすだけ。ICチップの読み取りが終わると画面に在留カードが表示されます。
表示されたカードと手元にあるカードを比較し、相違がないかどうかを確認してください。ICチップを読み取れない場合やスマートフォンに表示された在留カードが別のものだった場合は危険。在留カードが偽変造されている可能性が高いため、追加の確認が必要です。
雇用主が在留カードの記載内容によって手続きすること
雇用主は、外国人雇用する場合、ハローワークにその旨を届け出る責務があります。「外国人雇用状況届け出書」に記載する項目は、在留カードやパスポートを参照の上、正確に届け出ましょう。
「外国人雇用状況届け出書」提出は雇い入れと離職時に
この「外国人雇用状況届け出書」は雇い入れと離職時に必要になります。こちらが書式のサンプルです。詳細はハローワークにお問い合わせください。
また、雇用保険の手続きは別途必要になりますので、併せてご準備ください。
「外国人雇用状況届け出書」雇用主届け出内容
上記の「外国人雇用状況届け出書」の書式を記入する上で必要になるのが在留カードです。外国人から原本を預かり、以下の必要事項をご記入ください。併せてパスポートのご確認もお願いします。
記載方法は以下通りです。下記の表に従い、番号順に該当する内容をを書式に記入するだけです。
(出典:厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク「外国人雇用はルールを守って適正に」より引用)
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- 指導される側の外国人社員様向けのメンティー研修。
- メンターとメンティーをペアにして実践トレーニングをするペア研修。
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- 外国人に特化した新入社員研修。
上記の研修を、貴社向けの個別カスタマイズをしてご提供いたします。
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