Uber Eats配達員は法的にクロ?在留資格と不法就労の関係
初めまして。ALOTE事業責任者の小澤春奈と申します。<外国人と働く>をテーマに執筆しています。外国人雇用の基礎知識から外国人の生活まで、様々な視点からお話ししていきます。
今回は「外国人がUber Eats配達員として就労する場合の在留資格」についてお話しします。この記事を読めば、UberEats配達員をする外国人新規登録について理解できます。また、配達員として働くことができる在留資格がわかるので、不法就労の知識も身に着きます。
Uber Eats配達員の新規登録は外国人留学生不可
みなさんもご存じのフードデリバリーサービス「Uber Eats」。
このコロナ禍の現在、以前に比べて利用したことがある方も増えていますよね。街中で、あの印象的な黒いデリバリーバッグを背負って自転車を走らせている配達員や、デリバリー対応店でフードを待っている配達員をよく見かけますね。
その配達員に関する大きなニュースの一つに、外国人が関わっていることをご存じでしょうか。
ニュースの概要は、「2021年8月25日以降、外国人留学生などの在留資格で就労する新規登録を受け付け停止にする」というものです。
Uber Eatsの配達員は全国で約10万人。コロナ禍の宅配需要の増加し、失業者の受け皿になってきた背景があります。
Uber EatsがそのUber Eats配達員の中で、なぜ特に注目されて外国人が問題になっているのかご説明していきます。
外国人留学生の就労制限
就労が認められない在留資格
(出入国在留管理庁「新たな外国人材の受け入れ及び共生社会実現に向けた取組」を参考に著者が作成)
< 知らなかった!外国人留学生は就労できない?! 外国人の在留資格(4タイプ)まとめ② >でもお話ししましたが、留学の在留資格は基本的に就労は許可されていません。
留学生は日本国に上陸後、「資格活動許可」を得ることでアルバイトが可能となるのです。
資格活動許可を得た留学生は、週28時間(学校の長期休暇中は週40時間)の制限時間内で就労することが可能で、雇用者(留学生を雇っている企業)は「外国人雇用状況の届出」が必要で、制限時間を超えない範囲で勤務させることが法律で定められています。
しかし、外国人留学生の本音は「それだけじゃ生活できない!」
留学費用を借金して来日している留学生も多く、母国に送金しなくてはならないので、今後の学費 + 生活費 + 母国への送金、を稼ぎ出す必要があるのです。
そこで彼らが目をつけたのは週払いで、スキマ時間で稼げるUber Eats配達員でした。Uber Eats配達員の報酬は時間給ではなく個人事業主として受け取る歩合給のため、就労制限時間を偽るのにも適していました。
また、外国人留学生は生活費を節約するために同じ国籍同士でルームシェアをしているので、口コミで始めた人も多いようです。配達に使用する自転車やデリバリーバッグもシェアできるので好都合。
Uber Eats側としては、不法就労をはじめとする不正行為の温床になるのを防ぐために、外国人の配達員新規登録に制限をつけたのです。
今回のUber Eats配達員の新規登録が停止されたのが、在留資格の「留学」、「文化活動」、就労制限のある「特定活動」であったのも、限りなくクロに近いグレーゾーンをなくすためではないでしょうか。
外国人の雇止め
コロナ禍で就労が難しくなったのは日本人だけではありませんでした。
特に外食産業やコンビニエンスストアで働いていた外国人の多くがシフト調整による給与減や雇止めを経験し、やむを得なくUber Eatsをはじめとする副業を始めることになりました。
正社員ではなくアルバイトをはじめとする非正規雇用であったため、今回の事態における雇用の調整弁の役割になってしまったのです。彼らは雇用主からの勤務時間調整の要求に応えながら、何とか収入を確保するためにアルバイトを掛け持ちして食つなぐことを選んだ人もいます。
今回のUber Eatsで問題になった在留資格「留学」で資格外活動許可を得て就労する場合、週28時間の制限があるためアルバイトとして勤務しています。日本語能力が完ぺきとは言えない留学生が働き口を確保するのは難しいため、さほど日本語を使わずに仕事ができ、かつ時間に融通が利く配達員は外国人にとって貴重な選択肢ではあったはずです。
不法就労とは
令和3年1月1日現在、日本国内に約8万2000人の不法残留者がおり、その多くが不法就労をしていると思われます。(法務省統計)
不法就労にあたるのは以下の三つに大別できます。
① 不法滞在者や被退去強制者が働く場合
- オーバーステイや、密入国した者が働くこと
- 退去強制されることが決まっている人が働くこと
② 出入国在留管理庁から働く許可を受けずに働く場合
- 留学生、難民認定申請中の者が許可を得ないで働くこと
- 観光等の短期滞在目的で入国した者が働くこと
③ 働くことが認められている外国人がその在留資格で認められた範囲を超えて働く場合
- 調理人や、語学学校教師として認められた人が工場で単純労働をすること
- 留学生が許可された労働時間を超えて働くこと
◆ 不法就労をした外国人
< 罰則 >
3年以下の懲役もしくは禁固または300万円以下の罰金
※上記の罰則以外にも、退去強制事由にも該当するため、国外への強制退去となる可能性もあります。
◆ 不法就労者を雇用した事業主
【 不法就労助長罪 とは 】
働くことが認められていない外国人を雇用した事業主や、不法就労をあっせんした者
< 罰則 >
3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科
外国人の雇用時に、当該外国人が不法就労者であることを知らなくても、在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は処罰の対象となります。又、その行為者を罰するだけではなく、その法人、雇用主等に対しても罰金刑が科せられます。
(出典:「外国人の適性雇用について」警視庁HP)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
外国人の不法就労に対しては、本人にはもちろん、その外国人を雇用した側も罪に問われます。それが故意ではなくても、外国人の在留資格の確認作業を怠ったとされてしまうのです。
Uber Eatsはひとつの例にすぎず、今後外国人労働者の数が増えるにしたがって、こういった問題は増加することが考えられます。瑕疵が発生しないよう、組織として管理していくようにしましょう。
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