ミャンマー赴任者必見!10倍稼ぐ女性シニアマネージャーに聞いたミャンマー人の特徴とは? 外国人インタビュー企画③
初めまして。ALOTE事業責任者の小澤春奈と申します。<外国人と働く>をテーマに執筆しています。
外国人雇用の基礎知識から外国人の生活まで、様々な視点からお話ししていきます。
今回は新企画として「外国人へのインタビュー」を記事にしました。今回はミャンマー出身の女性、Win Thidar(ウィンティーダ―)さんに話を聞きました。
このインタビューでは、語学堪能なキャリアウーマンのWin Thidarさんが平均月収の10倍の給料をもらえる理由、日本企業がミャンマーで仕事をするうえで注意すべきこと、などを聞きました。また、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーの一般的な労働者について、また日本で働くことへのミャンマー人としての考えなどもわかりやすくまとめています。
日本企業で働く外国人労働者の本音がわかる興味深い内容になっています。是非最後までお読みください!
旧首都ヤンゴン在住のキャリアウーマン
ミャンマーの最大都市ヤンゴン在住のビルマ人女性にインタビュー
私の住んでいる所は、ミャンマーのヤンゴンです。年齢は今年31歳です。民族的にはミャンマー族(ビルマ族)になります。
※ビルマ族は多民族国家であるミャンマー人口の約70%を占める。自称Bama(バマー)。
4人兄弟の末っ子、兄はオーストラリア在住
今は夫と二人で暮らしています。妊娠しているので、来年子供が生まれます。
一緒には生活していませんが、家族は他に両親と兄弟が3人います。私は4人兄弟の末っ子です。
1番上の姉は医師免許を持っていますが、今は親族の商売を手伝っています。家具の製作と販売や中国向けの輸出入業をしています。2番目の姉はレストラン経営をしています。3番目は兄で、オーストラリアに住んでいます。オーストラリアでの仕事はなかなか難しいようですが、運転免許があるので建築の会社でドライバーの仕事をしています。
女性シニアマネージャーとして社長を支える
日本企業のミャンマー法人で女性シニアマネージャーに抜擢
某日本大手ITベンダー会社のミャンマー法人でシニアマネージャーをしています。月曜日から金曜日、朝8時から17時まで、週5日のフルタイムです。
ミャンマーの産休は日本と同様、産休後も働きます
そろそろお腹も大きくなってきたので、産休は取るつもりです。ミャンマーの産休は産前6週間、産後8週間で、日本と同じですね。その後は無給ですが、育休があります。
平均月収の約10倍を稼ぐキャリアウーマン
毎月の給料は、今の日本円レートで換算すると約10万円ですね。シニアマネージャーの役職ではこのくらいもらえます。
実はミャンマーの賃金は少し下がってきている傾向にあって、生活が厳しくなる人も出てきています。
マネジメントスキル、日本語と英語のスキルを評価され転職
今の仕事を始める前は、某不動産会社で業務チーフとして働いていました。その会社で不祥事が発生したため退職し、今の会社でシニアマネージャーとして働き始めました。
今の職場でシニアマネージャーとして抜擢された理由は、私のマネジメントスキルと言語スキルのおかげだと思います。会社本部との業務連携、契約書締結、などの経験と能力を評価してもらいました。日本語はJLPTのN1を持っていますし、中級程度の英語もできますので、言語スキルがあることも重要でした。
ミャンマー平均月収は1万円程度だが、20倍稼げる船員が人気
ミャンマーの平均月収は日本円に換算すると約1万円
ミャンマーの賃金はあまり高くなくて、平均月収は日本円だと1万円くらいです。チャットでは150,000MMK(ミャンマーチャット)ですね。
※記事執筆時のレートで100MMK=0.66円
工場などで働く人の給料はそのくらいだと思います。最低賃金はもっと低いですね。
人気のある職業は日本語教師、技能実習を希望する若者も
日本語学校で働くこと、特に日本語教師は人気の職業ですよ。日本語教師は増えていて、日本語教師を志す人、なり手はたくさんいます。日本語のレベルとしては、JLPTのN3くらいでも先生になるそうですが…そのレベルで教えるのは厳しいでしょうね。
それから技能実習生として日本に行きたいと考えている若者はとても多いです。技術や資格が習得できて、ミャンマーへの帰国後も就職に有利ですし、技能実習生は人気ですね。
若者の海外への出稼ぎが急増、渡航先は日本やアメリカ
2015年※から、今の軍事政権に移行までの数年間は、ほとんどのミャンマー人は海外への移住や出稼ぎは考えていませんでした。船員や留学生などの一部の人を除いて、ミャンマー人の大半、7割は海外に出ようという気持ちはなかったと思います。
しかし現在は状況が変わりました。新型コロナの影響で健康チェックなどが厳しくなってはいますが、若者の多くが海外へ出稼ぎに行っています。国内の若い人が少なくなったと感じるくらいです。日本、アメリカ、タイなどが主な行き先です。
※2015年、総選挙によって国民民主連盟(NLD)が歴史的勝利をおさめ、アウンサンスーチー氏による新政権が発足した。
船員は高給取りで平均月収の20倍稼げることも
海外志向の強い人は船員を選ぶこともあります。少なくとも月収800~1,000ドル、日本円で約12~15万円くらい稼げるそうです。1,500ドル稼げる人もいますが、いろいろとスキルが必要で、英語はもちろん必須なんですが、各種シッピング系の資格を持っていた方が給料はいいです。男性で船員になりたいという人は昔から多かったですね。
ミャンマー人は役職によって仕事にやる気が入る
日本人管理職とのコミュニケーションは日本語中心
私の会社は日本企業と資本関係があり、社全体では120人くらいの社員がいますが、日本人は社長と副社長の2名だけです。新型コロナ流行前はもっと日本人もいたそうなんですが。私の担当しているのは営業部門で、部下は2人います。
業務では日本人の社長たちと一緒に働くことが多いですが、翻訳や通訳の仕事も担当しています。業務上の打ち合わせや会議は90%程度日本語で、時々英語とミャンマー語を使うこともあります。
日本人の本音と建前、表情が読めず仕事で苦労
私が日本人と一緒に働いていて、困ることは日本人が思っていることを表情に出さないことです。
例えば、仕事をしていても、上司に報告した内容についてどう思っているのか、本音はどうなのか、表情だけではわかりません。怒っているときは割合わかるんですが…。満足しているときでも笑顔などはあまり見せませんよね。顔に出さないように我慢しているようにも見えます。
私がしたことに満足してくれているのかもしれませんが、本当は違うことを考えているのかもしれません。私にとっては日本人の表情だけでは判断できないことが多いんです。
日本人と仕事をする時に心掛けていることは「時間前行動」
これに関しては、やっぱり「時間」について気をつける必要があると思っています。
例えば、私に翻訳作業を依頼してくる上司は、1時間以内にという時間の指示をすることが多いです。その場合、1時間を超してしまうのはもちろんダメですが、できたら1時間かからずに、45分後くらいまでに提出すべきだと考えています。
時間に気を取られ過ぎて品質が落ちてしまっては意味がないので、間違いのないように、でも時間内に手早く作業を終わらせるように気をつけて仕事をしています。
日本人の好きなところは、時間と仕事に厳しいところ、オンオフの切り替え
私が日本人と仕事をしていて良いと思うところは、時間厳守の考え方です。時間にも厳しいですし、仕事への姿勢も厳しいです。私は自分のスキルアップのためにも、ぜひ取り入れて真似していきたいと思っています。
それから、仕事中と仕事以外のときの切り替えが上手なところです。例えば、仕事中は厳しかったとしても、勤務時間外ではとても優しく接してくれたりします。仕事のときと別の表情が見られるのでいいところだと思います。ミャンマー人は、一度その人への接し方が定まってしまうと、オンオフ関係なくその態度を貫きます。仕事中でも仕事の後でも同じような態度です。私は日本人のように切り替えられるように真似したいですね。
日本人に直してほしいところは、言葉遣いへの厳しさ、役職の少なさ?
日本人の嫌いなところ、直してほしいところは、先ほども話したように考えていることを表情に出さないところです。これに関しては、仕事をしていてすごく苦労しています。
それから、言葉遣いにすごく厳しいところですね。日本語が完璧ではないことはある程度理解してくれてはいると思うのですが、表現のしかたや言葉の選び方はとても厳しいと思います。
最後に、日本の会社は役職が少ないのが不満です。私は役職があるのですが、多くのミャンマー人は仕事上の役職名を欲しがります。ミャンマーでは、何の仕事をしているかということよりも、どんな役職に就いているかを重視する傾向があるからです。役職があることでミャンマー人は仕事に誇りを持つんですよね。日本の会社の多くは普通の社員が多くて、10何年か続けて働いていないと役職に就くことがなかなかできませんよね。もし会社の中にミャンマー人が多くなった場合、係長、主任、副課長、なんでもいいので役職があることが重要ですね。
日本在住ミャンマー人にアドバイス、仲間同士もっと助け合って
日本で働くのだから、会社や日本人から多くを学んでほしい
日本にいるミャンマー人、日本で働いている人たちに、私からアドバイスしたいと思います。
ひとつめは、日本でたくさん経験し、学んできてほしいということです。せっかく日本で働いているのですから、日本の会社でたくさん勉強してきてほしいです。日本人に積極的に話しかけて、たくさん教えてもらってください。日本人といい人間関係を作ることも大切ですから、コミュニケーションをたくさん取るようにしてください。
ふたつめは、ミャンマー人同士でもっと助け合ってほしいということです。海外にいる日本人を見ていると、日本人同士助け合って生活しているように見えます。しかし、ミャンマー人は国外であまりミャンマー人同士の交流がない気がします。同じミャンマー人なのですから、思いやりをもって、助け合って生活してほしいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このインタビューで筆者が感じたことは、ミャンマー人の「労働者としての可能性」です。
Win Thidarさんも話してくれていたように、日本語学習ならびに日本への就労はミャンマー人にとってチャンスです。若者が積極的に海外へ出稼ぎに出ている状況は、人手不足が深刻な日本にとってもチャンスなのです。
今後、技能実習から特定技能への在留資格のシフトが進んでいくことが予想されています。技能実習や特定技能の担い手の多くが東南アジア出身の外国人です。
現在の日本における外国人労働者の国籍別のトップはベトナム人ですが、円安の状況が継続すると、ベトナムへの送金額が目減りすることになります。出稼ぎをして母国に送金できる金額が確保できないベトナム人にとって、出稼ぎ国としての日本は魅力が半減し、ミャンマー人労働者の比率が増加することが予想されます。
ミャンマーの賃金は東南アジアでも低く、賃金水準で考えると日本へ出稼ぎするメリットは大きいのです。
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