使えない部下の育て方 仕事ができるように育てるための正解とは?部下のタイプ別育成方法①

初めまして。ALOTE事業責任者の小澤春奈と申します。<外国人と働く>をテーマに執筆しています。

外国人雇用の基礎知識から外国人の生活まで、様々な視点からお話ししていきます。

今回は「使えない部下の育て方」についてお話しします。

この記事を読めば、部下のタイプ別育成方法がわかります。また、記事内では部下への具体的な接し方や注意点についてもご説明します。

最後まで是非お読みくださいね。

優れたリーダー、できる上司の役割は「部下育成」?

この記事を読んでくださっている方の多くは、チームリーダーや何らかの役職に就いている管理職の方ではないでしょうか。部下(チームメンバー)を管理し、目標達成に向けて日々業務に邁進されていることと思います。

そんなリーダーのみなさんの大きな役割であり、大きな課題が「部下育成」かと思います。リーダーが、自分を超える次世代の管理職やスペシャリストを育成することは、組織が存続するための大きな命題であるはずです。後進を育成できなければ組織全体が年々衰退の一途をたどってしまうからです。

そのため、リーダーには常に「部下育成」の重責が付きまとい、時には苦悩されることもあると想像に難くありません。なぜなら、部下と言っても、様々なタイプが存在し、その実「困った部下」「困らない部下」に分けて考えてしまうのではないでしょうか?

しかし、「困った部下」を敬遠するわけにはいきませんよね。プロの管理職として、部下育成においてはどんなタイプの部下にも向き合っていただかなくてはなりません。

そこで、この記事では、「困った部下」に割いていた時間と労力を少しでも軽くするために、「困った部下」をタイプ別にご紹介し、事例ごとに対処方法をご提案します。全ての部下の方にとっての完璧な対処方法ではない可能性がありますが、試していただく価値がある内容となっているかと思います。

この記事が、部下の方々の成長につながり、次世代の人材をより豊かにするための一助となりますことを願っております。

タイプ①能力不足型

部下のタイプ別能力不足型

「能力不足型」の特徴とは、

  • 基本的な仕事しか身についていないこと
  • 難易度の高い仕事を任せるには、能力がそのレベルまで達していないこと

が挙げられます。

基本的な仕事しか身についていないのであれば、大きな仕事を丸ごと任せるのではなく、仕事を小さなパーツに分け、ひとつずつクリアさせる方法を試してみましょう。

赤ちゃんも最初から歩くわけではありません。首が座り、寝返りをし、腹ばいになり、ハイハイ、つかまり立ちを経て、やっと歩くことができます。ベイビーステップ、ステップバイステップで、確実にできることを増やしていきましょう。

最初は誰でも初心者、新人です。一緒に仕事をしたり、作業を任せるには心もとない(不安になってしまう)ような能力の部下もいるかもしれません。そんな部下でもメンターとして指導をする以上、サポートして少しでも成長してもらえるように努力しなければなりません。

能力不足といっても、本人はとてもやる気があり、一生懸命に仕事に取り組んでいるタイプでもあります。

基本的な仕事はできるのですから、いきなり大きな目標や、難しい作業をさせるのではなく、簡単な作業を成功させることを積み重ねて行くことが効果的です。

これは日本語教育でも「積み上げ式」と呼ばれて確実に文法などを習得する方法としてよく使われています。

例えば、その部下が現在のランクでこなすべき作業が100あったとしたら、簡単な作業から順に「ひとりで完璧にできる」かどうか確認していきます。もし1~20までできるのであれば、それ以降は部下に任せることができますし、21ができないのであれば、同時並行で複数の作業を教えるのではなく、ひとつひとつ確実に習得できるよう成功体験を積ませましょう。

その時に重要なのが、

  1. 知識能力が不足しているのであれば習得させる 
  2. 課題解決のための対処方法を教える 
  3. マニュアルの使い方を教える 

ことです。これからもずっと付きっきりで仕事ができるわけではありませんから、最終的には部下にひとり立ちしてもらわなければなりません。つまり、一人でも対処できる「やり方」を教え、自立できるように育成していくことを目指しましょう。

タイプ②やり方がわからない型

部下のタイプ別やり方がわからない型

「やり方がわからない型」の特徴は

  • やる気があるが、やり方を知らない
  • 仕事を一気に片付けようとして失敗してしまう
  • その結果仕事が二度手間になる

が挙げられます。

一定の能力とやる気がありながらも、それを成果につなげる具体的なやり方がわからずにもがいている部下はいないでしょうか?やる気があるがゆえに、仕事を抱え込んで失敗したり、間違ったやり方で二度手間になってしまうこともしばしばあるかと思います。

このタイプの部下の場合、やり方のパターンさえ身につけば、成果を出すことは難しくないはず。

やり方がわからない仕事を個別に解きほぐして、手順を理解させます。その際、既に上司や先輩が成功したやり方を真似(模倣)させてみるのもひとつの方法です。必ずしもそのやり方だけが正解ではないかもしれませんが、何事も真似をすることで身につくものです。

中には自分なりのやり方にこだわる部下もいるかもしれませんが、一旦基本に帰り、先輩や上司の成功例を実践させてみましょう。今まで失敗してきた原因は我流のやり方に固執していたせいかもしれません。一度、上司や先輩のやり方で成功すればしめたもの。もし、部下自身のオリジナルのやり方、より良い方法が確立できるのであれば、近い将来その方法で成果を出すことも容易になるでしょう。

タイプ③段取りが悪い型

部下のタイプ別段取りが悪い型

段取りが悪い:

「段取りが悪い型」の特徴は、

  • どれを優先すべきが決められない
  • あれもこれも手を付けてはみるものの、全て中途半端になってしまう

などが挙げられます。

ひとつの作業であれば問題なく完了できるのに、時間配分と優先順位のつけ方が上手でないのが原因なのです。

例えば、課長からAという仕事を3日前に頼まれていたのに、他の人に「急ぎの仕事」Bを依頼されてしまうと、どちらも中途半端になってしまい、結局言われた通りの期限に仕上げられないのです。

このように、実際の現場では、ひとつの作業を完了したら次の作業、と言うように自分のところに来た作業を順番通りに機械的にこなせばいい状況というのはまれです。複数の仕事を調整しつつ、同時進行していかなければなりません。自分の能力とキャパシティーを考え、仕事を進めていくことが必要になります。そこで、重要となるのが時間の使い方(時間配分)と優先順位のつけ方です。

タイムマネジメント(時間管理)方法を教えると、同時進行で複数の仕事を効率よく進めることができるようになります。

部下に新しく仕事を任せる場合は、今どれくらいの仕事を抱えているか情報共有させることから始めましょう。仕事の優先順位は、緊急度が高いか低いか、重要度が高いか低いか、を組み合わせて4つのパターンに分けられます。以下の図は、PDCAにおける優先順位のつけ方で、仕事の重要性と緊急性を基準にしたものです。

優先順位のつけ方、緊急性、重要性のつけ方

もちろん、優先順位が最も高いのは緊急度重要度ともに高いAになるのですが、その他のB、C、Dもしなければならないことには変わりません。まずは部下に優先順位をつけさせてみて、ある程度の時間配分の目安はアドバイスしてもいいでしょう。

優先順位のつけ方の詳細は、<PDCAが有効な場合を見極めて使え!PDCAサイクルの具体例と失敗しない方法とは?>をご覧ください。

また、時間管理の観点から言うと、

  • 時間が固定された仕事であるアポイントメント
  • 時間が固定されていない仕事であるタスク

の2種類を切り分けて考えなければなりません。

アポイントメントは他人と約束した会議や打ち合わせなどですが、他人が関わってくるので簡単に動かすことができない反面、相手の都合で変更させられる可能性もあることを念頭に置く必要があります。一方、タスクは提出期限などはあるものの、作業自体は自分のさじ加減で調整ができます。このアポイントメントとタスクをうまく組み合わせて段取りをつけられるように指導してみてください。

段取りのつけ方は個々の考え方の違いもありますので、部下の意見も一概に否定せずに取り入れてもいいでしょう。その上で、仕事全体を見て判断が下せるように、上司としてフォローしていくといいでしょう。

タイプ④研修での学びが少ない型

部下のタイプ別研修での学びが少ない型

「研修での学びが少ない型」の特徴は

  • 「参加してみてどうだった?」と質問しても、「よかった」という感想しかない
  • 研修内容を現場作業に活かせない

などが挙げられます。

上司の役割のひとつに、人を育てることがあります。いわゆるOJT(On the Job Training)で、一緒に仕事をしながら教育する方法もありますが、研修などに参加させて業務から離れた場所で学ばせることもあると思います。Off-JTと呼ばれることもある「研修」では、今までにない気づきを与えてもらったり、頭の中や心の整理をすることもできる貴重な機会です。

しかし、同じ研修に参加させても、1から10を学ぶ部下もいれば、1以下の学びしか得られない部下もいて、「研修の効果をいまいち実感できない」と嘆かれている上司の方もいるかもしれません。人は経験から学ぶことができますが、その経験をどう受け止めたのか、どのように考え仕事に活かすのかは人それぞれです。少しでも研修の効果を得たい場合は、研修後に部下に問いかけ方を具体的かつ客観的なものにすることが重要です。

  1. 研修内容について:「研修で何をしたか」「何が起きたか?」
  2. 部下の変化について:「研修で何か変化したか?」「どんなことに熱中したか?(できなくて困ったか?」
  3. 気づきや学びについて:「過去に同じような経験をしたか」「重要な学びはなんだったか」
  4. 現場への置換について:「研修で学んだことを活かして、現場で何か変えられるか」

上記の問いかけは、失敗をしてしまったときにも効果的です。重要なのは、起こったできごとを具体的に客観的に観察させることです。そして、次につなげるためにどのようにすればよいか、部下自身に考えさせ、言語化することで、学びを仕事に活かすことができます。これによってよい成果がでるような行動に変えることができ、何度も繰り返すことで良い行動を習慣化させることができます。

また、振り返りは研修後あまり時間を置かずに実行させましょう。研修ではインプット(知識を入れる)作業が多くなりがちで、「理解する」ことはできても、「できる」までにはなりません。そして、人間は忘れる生き物。「エビングハウスの忘却曲線」によると、1時間後には56%、1日後には74%を忘れてしまうそうです。忘れさせないためには、復習するしかありません。

とはいえ、忘却曲線で言及されているのは、人間の短期記憶についてなので、記憶を定着させるためには実践によるアウトプットが欠かせません。部下の研修に対する満足度だけではなく、学んできたことを実践するための「場」を提供してあげることが重要です。

まとめ

いかがでしたか。

みなさんがお悩みの「困った部下」に当てはまるタイプはいたでしょうか?または、身近な人物の困った行動を解決するヒントになったでしょうか?

この記事は続編も予定しておりますので、ご期待ください。

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Haruna Ozawa

氏名: 小澤春奈(OZAWA HARUNA) 東証一部上場の商社にて営業、IR広報で社外対応の実績を積んだ。 その後、「来日した外国人を教育を通して支援したい」という想いから、都内日本語学校に転職。ミャンマー校の立ち上げ、現地校の指導計画立案/実施などの現場の指導体制を整え、帰国。日本・ミャンマー現地合わせて延べ5200人の外国人留学生の現場責任者として指導にあたり、多くの学生を日本社会に送り出す。 日本語学校に8年間勤務し、退職、その後インマイブック株式会社に入社し、教育事業部部長に就任。2021年、多国籍キャリアアップ研修サービス「ALOTE」を立ち上げ、現在に至る。

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