チームリーダーの役割と必要なスキルはコレだ!部下がついてくるリーダーとは?

ALOTE事業責任者の小澤春奈です。こちらでは<外国人と働く>をテーマに執筆しています。

外国人雇用の基礎知識から外国人の生活まで、外国人雇用についてお話ししていきます。

今回は「チームリーダーの役割とスキル」についてです。

この記事では、組織においてチームリーダーが務める役割についてご説明しています。また、そのために必要なスキルと、部下に好かれるリーダーの条件がわかる内容になっています。是非最後までお読みください。

リーダーシップを発揮する目的とは?

リーダーシップとひとくちに言っても、目的が曖昧なままでは行動に移しづらいでしょう。

目的について、ジョン・アデアが論じていますので、ここでご紹介します。

ジョン・エリック・アデア(John Eric Adair)は、イングランドのルートン生まれの学者・著作家・教育者です。組織におけるリーダーシップ論やリーダーシップ開発において世界的権威であるイギリスの学者です。サリー大学に世界初のリーダーシップ講座を開設し、教授として就任しました。

「リーダーは何を必要とされているの?」「何のためにすればいいの?」という問いに対し、ジョン・アデアは3つの目的に集約しています。

  • 【目標達成】仕事を成就させること
  • 【チームビルディング】チームを団結させること
  • 【人材育成】個々の人材を教育すること

この3つの目的を最大限に満たすことで、チームの成果にもつながります。

【目標達成】とは、最終目標を強く意識することが重要です。目の前の作業に追われていると、目標を見失いがち。今やっている作業はあくまでも目標達成のための「手段」であって、それ自体が行動の目的になってはならないのです。

【チームビルディング】とは、メンバーの能力が活かせている状態を作ることが重要です。「集団の雰囲気を重視して和気あいあい」では、チームビルディングではなくただの仲良しチーム。コミュニケーションが双方向で行えているか、個々のメンバーが役割を理解して動けているか、リーダーが常に確認し必要であればフォローしましょう。

【人材育成】とは、メンバーの個性を認め、発展させられるよう導くことが重要です。とはいっても、手取り足取り一から十まで指導するばかりが人材育成ではありません。プロジェクトを進行させる過程でメンバーが経験すること、リーダーや先輩社員がお手本となることも教育になります。リーダーは常に周囲に影響を与えることを意識する必要があります。

プロジェクトを任された後、ふと「何のためにリーダーしてるんだっけ?」と立ち止まって考え込んでしまったときは、是非この3つを思い出してください。

3つの目的を意識していれば、大きく道から外れることはなくなるはずです。

チームを率いるリーダー社員とメンバーたち

リーダーに求められるスキル

リーダーのスキルを頭に思い浮かべるとき、「全ての業務のスペシャリスト」「チームを引っ張るカリスマ性」などを想像される方は多いかもしれません。

しかし、リーダーが第一に考えるべきは、自分のことではなく、チームのことです。「チームの目標達成をさせる」ためのスキルがリーダーには必要なのです。

むしろ、功を焦って、我先に表に出るようでは、本来果たすべき目標を見失っているリーダーかもしれません。

主役はあくまでもチームメンバーメンバーの実力を発揮させるためのスキルこそ、リーダーに求められるものなのです。

①判断力・決断力

チームプロジェクトは、組織として達成すべき目標に向かって動いています。しかし、日々の業務をこなすことで精いっぱいのメンバーは、しばしば自分の与えられた本当のミッションを見失いがちです。目標への方向性がわからなくなったメンバーのモチベーションは低下し、本来の実力が発揮できません。

そこで、リーダーがすべきことは、目標達成のための道筋を示し、重要な判断を正確に下すことです。目標達成のための仕事に優先順位をつけ、必要に応じてメンバーに割り振ったり、不要な仕事は切り捨てる決断をするのがリーダーの役割。

自分自身の仕事だけでなく、メンバーの状況にも目配り・気配りをし、決断する力が求められます。

そのためには、常日頃からの情報収集と情報共有を怠らず、的確な判断ができるように心がけましょう。

営業資料などの情報を共有する社員たち

②コミュニケーション能力

チームリーダーの重要な役割のひとつに、チームの仕事をまとめる「4.統制する」が挙げられます。チームリーダーは、チームを最終目標に向かって導き、統制(チームを管理・調整)する存在です。

そして、チームの統制のためにはコミュニケーションが欠かせません。チームメンバーと仕事上の情報交換・情報共有をし、上層部に対しては進捗状況の報告、さらにチームを代表して他部門との交渉や調整を行ったりします。

そして、活発なコミュニケーションによって得た情報を整理し、チーム全体で再度共有します。リーダーは積極的にコミュニケーションを行い、信頼できる情報ソースを持つ信頼できる人物になる必要があります。

また、チームメンバーは、リーダーのコミュニケーション能力によって統制されることで、より強固なチームになります。これが、チームビルディングです。

リーダーは、個々の集合体に過ぎなかった「グループ」をうまくまとめることで、協力し合う「チーム」へと昇格させます。効果的なリーダーになるためには、コミュニケーションを大切にし、チームビルディングに時間をかけ、全員がチームの一員であると感じられる職場環境を築きましょう。

③リスクマネジメント能力

チームが目標達成できるか否かは、最終的にはチームリーダーの責任です。その一環として、仕事が順調に進んでいるか、メンバーの担当業務量や内容が適切であるかを常に確認する必要があります。しかし、特にチームが大きくなってくると、常にメンバーの状況を頭の中に入れておくことが難しくなるかもしれません。定例のチームミーティングや、個別ミーティングをうまく使い、現状把握とリスクの洗い出しを行いましょう。

その結果、もし、チーム内に目標に対する不安材料がある場合、そのリスクは直ちに排除しなければなりません。チームメンバーが業務量についてどの程度負担を感じしているかを確認し、優先順位を下げたり、保留したり、委任したりする必要があれば随時対処しましょう。

リスクを未然に回避することも重要ですが、予想外のトラブルの発生をゼロにすることは難しいもの。トラブル発生後の対応の仕方が適切かどうか、スピーディーに被害を最小限にできたかどうか、リーダーの能力が問われる場面です。

また、チームリーダーは、タイムマネジメント(時間管理)を通じてのリスクマネジメントも必要とされます。チームで仕事を進める以上は、リーダーの指示のもと、仕事に優先順位をつけていきます。優れたリーダーは、タイムマネジメントを効果的に行い、限られた仕事時間を最大限に活用することができます。そして、チームメンバーにもタイムマネジメントの重要性を理解してもらい、不測の事態が発生した時も慌てず対処できるよう備えておくことが求められます。

リーダーの役割(仕事)とは?

では、具体的にリーダーがチームで行うべき役割は何でしょうか?

リーダーがどのような働きかけをすることで、チームに貢献できるのでしょうか?

リーダーの具体的な行動(働きかけ)についてジョン・アデア「8コア・ファンクションズ」より

ここでは、ジョン・アデアによる「8Core functions」についてご説明します。

アデアは、リーダーの役割としてのチームへの働きかけを以下のように8つ挙げています。

  1. タスクを明確にする
  2. 計画する
  3. 要約する
  4. 統制する
  5. 支援する
  6. 評価する
  7. 動機づけする
  8. 模範となる
ジョン・アデアの8Core functionsより「リーダーの役割」

1.タスクを明確にする

タスクを明確にする(Defining the Task)とは、仕事における目標を明確にすること。

明確にする方法は、具体的には「SMART」を意識して行うことが重要です。

  • 具体的(Specific)
  • 測定可能(Measurable)
  • 達成可能(Achievable)
  • 関連性(Relevant)
  • 期限付き(Time-bound)

それぞれ頭文字を取ったものです。SMARTの提示がリーダーシップの遂行に欠かせない要件とされています。

SMARTを使った目標設定の例は以下の通りです。

【海外展開の仕事がしたい】ではなく、

SMARTに変換 ➡ シンガポール支店の〇〇プロジェクトに参加できるように(具体的/関連性)、TOEICで750点(測定可能/達成可能)を2022年末まで(期限付き)に達成する。

【ランニングを頑張る】ではなく、

SMARTに変換 ➡ 2024年の〇〇マラソンに出場するために(関連性)、毎月300㎞を5か月間継続し(測定可能/達成可能)、2023年4月までに(期限付き)フルマラソンのタイムを5分短縮させる(具体的)

タスクを明確にする目標設定の画像

2.計画する

計画する(Planning)とは、チームと相談し、優先順位を明確にした、実現可能なプラン作成をすること。

また、リーダーは計画の立案だけでなく、様々なケースを想定することも求められます。チームの状況に目を光らせ、臨機応変に計画を立案します。メインの計画だけはなく、複数の代替案を準備しておく必要もあるでしょう。

計画の段階からメンバーと相談し、チーム全体が納得感を持てるプランにできるよう雰囲気づくりにも留意しましょう。

資料を作っているデスクの上

3.要約する

要約する(Briefing)とは、チームへの情報共有のこと。組織全体が同じ方向を向いて仕事に取り組むためには、チーム内の情報共有が欠かせません。

チームの目標設定や達成のための具体的行動、進捗状況などを説明することで、必要な情報が必要な人員に行き渡るようにします。情報共有がなされることで、チーム内のムダが削減され、メンバーのモチベーションも維持されるので、目標達成もしやすくなるでしょう。

緊急の事柄ではなく、重要な項目に焦点を合わせる必要があります。メンバー個々の情報だけではなく、メンバー間がお互いに情報を把握できる状態が理想です。

4.統制する

統制する(Controlling)とは、チーム内の管理を行うこと。アデアは「最小のインプットで最大のアウトプット」を出すと記しています。

そのためには、メンバーの自己管理・自立を促すだけでなく、チーム全体の調整を行う必要があります。状況に応じて、メンバーに対して誘導したり、鼓舞したりなどのフォローを行うのもリーダーの役割です。メンバーの目標に対するベクトルがずれてきてしまうケースもあるので、観察も怠らないようにしてください。

5.支援する

支援する(Supporting)とは、メンバーを計画に適応させ、個々が抱える問題を解決すること。

チーム全体が目標達成に向かうための過程を円滑にするためのサポートを行います。情報共有が適切に行えているか気を配り、メンバー間に摩擦があれば解消し、メンバーに対して感謝を示します。

6.評価する

評価する(Evaluating)とは、チームが得た成果から、メンバーの業務内容を評価すること。

チームの目標達成は重要なことですが、その目標達成に対してひとりひとりのメンバーがどのような役割を果たしたかを査定します。チームに対する貢献度や、業務に取り組む姿勢などを評価し、次に繋げるための指導も行います。

失敗事例や成功事例から、チーム全体で学ぶことも忘れてはなりません。そういった評価過程を通じて、個々のメンバーの育成方針や将来のキャリア展望を明確にしていきます。

リーダーはチーム全員を正しく評価する能力が求められます。つまり、他人の能力を見極め、適切な評価ができなければリーダーシップは十分に発揮できないのです。

固く握手を交わす男性会社員

7.動機づけする

動機づけする(Motivating)とは、チームに内在する欲求に応え、やる気を高めること。

やる気が出るきっかけは一つではありません。メンバーの数だけ動機づけされる要因は存在し、それは人によって異なります。何によってモチベーションが上がるのか、何がやる気を加速させるのか、リーダーは的確に把握しなくてはなりません。もちろん最初から意欲的な人材を抜擢する方法もありますが、配属によってはリーダーシップによって動機づけをしなければなりません。

やる気を加速させるためには、インセンティブ、ごほうびを与えるのが効果的です。仕事の成果は、本人の能力が高いだけでは十分に発揮できません。やる気が伴わない仕事は成果の出方は半減します。

「能力 × やる気 = 仕事の成果」

インセンティブは主に4つ。

  • 物質的インセンティブ ➡ カネ、モノ など
  • 評価的インセンティブ ➡ 表彰 など
  • 人間関係のインセンティブ ➡ 周囲の人間的魅力 など
  • 自己実現のインセンティブ ➡ 自己の成長、変化 など

物質的インセンティブは、報酬として賞与が増えたり、営業成績トップの記念品を受け取るなど、のカネやモノを獲得することです。

評価的インセンティブは、社内で表彰されたり、好成績が張り出されるなど、良い評価を受けることです。

人間関係のインセンティブは、魅力的な憧れの上司の役に立つ喜びなど、人間関係により他者から承認されることです。

自己実現のインセンティブは、以前の自分と比較して自己成長を感じたり、変化を実感するなど、自己実現を達成することです。

モチベーションの高い男性社員のガッツポーズ

8.模範となる

模範となる(Set an Example)とは、リーダーが高い基準でお手本を示し、自らが任務に貢献すること。

リーダーが目指すべきは、実践現場主義。前に立ち、メンバーをリードします。チームの行動規範は予め定めておき、有言実行、言行一致を心掛けましょう。

しかし、良い見本を提示したリーダーの行為がすぐに効果を発揮するわけではありません。悪い見本をリーダー少しでも見せればすぐメンバーの目に付きますが、良い見本がチームに浸透するには、ある程度時間を要します。

メンバーは常にリーダーから何らかのスキルを盗もうと目を光らせています。積極的で不平不満を言わないリーダーをメンバーは期待しています。

部下がついてくるリーダーとは?

ジョン・アデアによる「8Core functions」によるとリーダーの役割はとても多いように見えます。しかし、全てのリーダーが役割を完璧にこなせるわけではありません。

それでも、不思議と部下がついてくるリーダーというのは存在します。それはどんな人物なのでしょうか。

優秀な人材が優秀なリーダーとは限らない

部下がついてくるリーダーとは言っても、全ての人に好かれている人物かと言ったら、それはNOでしょう。

例えば、営業マンとして優れている人がリーダーをしたとしても、リーダーの役割を完遂できるとは限りません。セールスのためのスキルが、リーダーとしてのスキルとイコールではないからです。むしろ優秀な人材であるがゆえに、そうでない人の立場では考えられず、チームをまとめることはできないかもしれません。

反対に、プレイは下手でも、チームをまとめることに長けたリーダーというのは存在します。リーダーのタイプはひとつではなく、メンバーにとってどんな存在(役割)であるかは決まった形はありません。

  • 理解のあるやさしい先輩
  • 職場の盛り上げ屋
  • 目配りが聞く観察者
  • 少し厳しい教師

それでも「このリーダーについていきたい」と思わせるのは、「ついていく人 = フォロワー」が多い人なのかもしれません。この人についていけば、面白いものが見られる、いい経験ができる、と思わせる何かがある人物に人は自然とついて行ってしまうのです。

選ばれるリーダー

万人に好かれるリーダーはいない

どんな完璧な人物でも、万人に好かれることは容易いことではありません。

むしろ気を付けなければならないのが、「好かれよう」として自分らしさを失ってしまうことです。「理想のリーダー像」を追いかけすぎて、メンバーに忖度して指示があいまいになったり、本来の目標から離れていってしまうことの方が問題です。

リーダーを任されたのですから、あなたにはその役割を全うする能力があるのです。メンバーに好かれることが目的ではなく、チームで成果を出し目標を達成することが目標であるはず。本来の目的を忘れてはなりません。

信頼されるリーダーとは?

信頼されるリーダー

とは言え、せっかくなら嫌われるよりは好かれたいと考えるでしょう。確かに、嫌われ者のリーダーに反発する形で、チームメンバーの結束が強まる例もありますが、かなりのレアケース。

万人に好かれるリーダーは難しいかもしれませんが、「信頼されるリーダー」にはある法則があります。

それは

  1.  嘘をつかない
  2. 言い訳しない
  3. 言動に一貫性がある
  4. 約束(時間)を守る
  5. いざというとき逃げない

という五原則です。

信頼されるリーダーは、リーダーの役割を果たしつつも、メンバーを守る責務があります。メンバーを裏切らない信頼されるリーダーにこそ、人はついていきたいと感じるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

みなさんご自身や、身近にいるリーダーを当てはめて、納得できるところはあったでしょうか?

リーダーはあくまでも役割です。決してリーダーであることでおごることなく、チームの目標に向かってまとめ上げる能力が求められます。

チームの主役であるメンバーを活かすも殺すもリーダー次第。ご自身がリーダーとなったときに、この記事を参考にしていただければ幸いです。

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氏名: 小澤春奈(OZAWA HARUNA) 東証一部上場の商社にて営業、IR広報で社外対応の実績を積んだ。 その後、「来日した外国人を教育を通して支援したい」という想いから、都内日本語学校に転職。ミャンマー校の立ち上げ、現地校の指導計画立案/実施などの現場の指導体制を整え、帰国。日本・ミャンマー現地合わせて延べ5200人の外国人留学生の現場責任者として指導にあたり、多くの学生を日本社会に送り出す。 日本語学校に8年間勤務し、退職、その後インマイブック株式会社に入社し、教育事業部部長に就任。2021年、多国籍キャリアアップ研修サービス「ALOTE」を立ち上げ、現在に至る。

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